本当は怖いコンタクトレンズ
コンタクトレンズの
リスクについて
角膜内皮細胞が取り返しのつかなくなる前に、定期的に内皮細胞の検査を!
角膜の断面を拡大してみると、一番前から角膜上皮細胞・角膜実質細胞・角膜内皮細胞となります。
角膜内皮細胞は角膜の一番内側にある細胞で一層のみです。
角膜実質細胞の水分を目の内側(前房)に引き込むポンプ作用による新陳代謝で、角膜の透明度を保っています。
若い時は六角形の小さな内皮細胞がぎっしりあります。しかし、加齢と共に細胞が死んで減少していきます。
コンタクトレンズ装用による酸素不足で減少のスピードが速まります。
一度死んでしまった内皮細胞は、一生涯再生することは有りません。
内皮細胞が死んで隙間ができると、その隙間を埋めるために周りの細胞は大きくなり、形もバラバラになっていきます。
内皮細胞の数が極端に低下すると新陳代謝が損なわれ、角膜が濁って視力障害を起こします。
角膜内皮細胞数が1,000個を切ると、将来白内障になっても手術を受けられず、角膜移植をしてから白内障の手術をする場合もあります。
内皮細胞の写真を
見てみましょう
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コンタクトレンズ装用歴4年
(健康な内皮細胞)装用時間:12時間
メガネとの併用:有り
レンズの種類:シリコンハイドロゲル素材の2weekタイプ
6角形に近い小さな内皮細胞が1mm平方当たり3,205個確認できます。コンタクトレンズは必要最低限のみ使用し、メガネとの併用・酸素を沢山通すコンタクトレンズを選ぶ・定期検査を受けるということが大切です。
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コンタクトレンズ装用歴30年
装用時間:14時間
メガネとの併用:有り
レンズの種類:1970年代の酸素をほとんど通さない初期のハードコンタクトを使用していた時期がある。
内皮細胞が1mm平方当たり755個、平成12年からはメガネで生活しています。現在のハードコンタクトレンズは酸素を沢山通すようになっていますので、このような心配はありません。
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コンタクトレンズ装用歴3年
装用時間:16時間
メガネとの併用:無し
レンズの種類:使い捨てではないソフトコンタクトレンズ(メーカー不詳)
内皮細胞が1mm平方当たり1,307個まで減少していたので、コンタクトレンズの使用は即中止になりました。コンタクト装用開始前の内皮細胞数は分かりませんが、このペースであと1~2年間コンタクトを使い続けると、内皮細胞が1,000個を切っていたかもしれません。
角膜内皮が障害される原因は酸素不足以外にも、眼外傷・眼内炎等もあります。内皮細胞の生命力にも個人差がありますが、3年間でこれだけ減少するのは特別だと思われます。 -
コンタクトレンズ装用歴13年
装用時間:14時間
メガネとの併用:無し
レンズの種類:使い捨てではないソフトコンタクトレンズ(メーカー不詳)
内皮細胞が1mm平方当たり1,307個まで減少していたので、コンタクトレンズの使用は即中止になりました。本人は、使い捨てでは無いコンタクトレンズの方が、性能が良いと思っていたとのことです。
もしコンタクト使用前の内皮細胞数が3,300個だとすると、13年間で2,000個の内皮細胞が死んだことになります。1年当たり154個位の減少なので、あと2年使っていたら1,000個を切っていたことになります。
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内皮細胞の減少により
角膜が濁って視力障害が起こった例 -
角膜移植の例
角膜はどこから
酸素をもらっているの?
角膜には血管が無いので、起きているときは皮膚呼吸により空気中から酸素をもらっています。
では、寝ている時は?・・・まぶたの裏と接触していますね!?
まぶたの裏の毛細血管を流れる血液から酸素をもらっているのですが効率が悪く、酸素の量は起きているときの1/3位になります。
コンタクトを付けたまま寝てはいけない理由は、角膜とまぶたの裏にコンタクトがあると直接接触できないので、一気に酸素量が減ってしまうからです。
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裸眼の状態の
酸素量 -
コンタクト装用時の
酸素量 -
装用したまま寝てしまった
場合の酸素量コンタクトを装用したまま寝てしまった場合、内皮細胞の減少に拍車を掛けます。
酸素を少しでも多く供給するために守って欲しいこと
- 朝起きた時の角膜は酸素不足が続いているので、お出かけ直前まではメガネで過ごしましょう。家に帰れば、メガネで過ごしましょう。
- コンタクトレンズを装用すると赤線③の様にもらえる酸素が減ります。
- 間違っても赤線④の様にコンタクトを付けたまま寝ないでください。
角膜内皮細胞を
減らさないために
- 起床時の角膜は酸素不足なので、お出かけ直前にコンタクトを装用する。
- メガネと併用してコンタクトの装用時間を短くする。
- コンタクトを付けたまま寝ない。
- 従来のHEMA素材に比べて酸素を5~6倍通すシリコンハイドロゲル素材の使い捨てレンズを使用する。
- ランニングコストを気にされる方は、1年間使える(コンベンショナル)ソフトコンタクトレンズではなく、酸素をたくさん通すハードコンタクトレンズにする。
※定期的に眼科を受診し内皮細胞を測定して、減少していないかを確認しながら安全にコンタクトレンズをお使いください。