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糖尿病網膜症

血液中の糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままでいると、血管が傷ついたり、詰まったりして、血流が滞ってしまい、毛細血管の多いところほど合併症が起こりやすくなるので、心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、糖尿病の慢性合併症がおきてしまいます。
網膜の細い血管がつまると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。新生血管はもろいために血管の壁から血液が染み出した点状・斑状出血、血液中の血漿けっしょう成分が染み出してつくる硬性白斑などが現れます。また、出血すると網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。
日本では糖尿病の患者数は約 690万人、予備軍を含めると、約1,370万人になると言われています。 糖尿病患者の30~50%が網膜症を合併しており、毎年3000人以上の患者さんが失明しています。 網膜症は、定期的な眼科の検査を受け、糖尿病と眼科の適切な治療を続けていれば防ぐことができますので、 糖尿病と診断されたら眼科での定期的な受診を心がけてください。

単純型網膜症
血管の所々に障害が現れ始め、毛細血管の一部がこぶのように腫れる毛細血管瘤りゅう、血管の壁から血液が染み出した点状・斑状出血、血液中の血漿けっしょう成分が染み出してつくる硬性白斑などが現れます。自覚症状は有りません。

点状の出血が確認できます。

増殖前網膜症
血流が悪い部分の細胞が変化してシミのように見える軟性白斑、血流が全く途絶えてしまう血管閉塞、静脈が異常に腫れあがる静脈異常、血管から染み出た血液成分が網膜内に溜まり網膜が腫れる網膜浮腫が起きてくる。
自覚的は、黒いものが飛んでいるような(飛蚊症)感じがしたり、かすんで見えたりする程度ですが、黄斑部に浮腫が起こると(黄斑浮腫)著しい視力低下が起こります。放置すると増殖網膜症に進行しやすいため、眼科的には網膜光凝固治療が必要になることが多くなります。
光凝固は虚血で酸素や栄養不足になった網膜組織をレーザー光線で凝固(焼き付け)することで、 増殖網膜症に進行させる増殖因子などの放出を抑え、 網膜症の進行を予防するために行います。

出血や白斑が増えています。

増殖網膜症
虚血部分に酸素や栄養をなんとか送り込もうと、新生血管が伸びてきます。しかしこの血管は、大変もろく出血しやすい血管で、新生血管が破れて網膜の表面や硝子体内に出血が広がると、視力に大きな影響を及ぼします。
新生血管から染み出た成分が刺激となって、薄い膜状の増殖膜が形成され、増殖膜が網膜を牽引し網膜剥離はくりが発生。さらに血管新生緑内障が起こることも有ります。

硝子体出血が確認できます。

・糖尿病の合併症を起こさない、悪化させないために。
血糖値を目標の値にコントロールする
喫煙をしない
血圧・コレステロールの値を望ましい範囲にコントロールする
糖尿病の治療を中断しない事が大切です。

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